※この記事は初期に公開したものを、当ブログの記事方針に合わせて全面的に書き直しました。
継続率73%。LT突入率25.5%。数字だけ並べれば、ライトミドルとしては平凡に見える。
だが、掲示板を眺めると出てくる言葉はこうだ。「即転落」「1回転で終わった」「73%は嘘だろ」。継続率73%の台で、なぜここまで「続かない」という声が出るのか。
この台の73%は、ST機の73%と、意味がまったく違う。そこを数字で分解する。
スペック
SANKYOのライトミドル。1種2種混合の、転落式LT機だ。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 大当り確率(通常時) | 約1/149.9 |
| LT突入率(初当り時) | 約25.5% |
| LT到達確率(通算) | 約1/588 |
| LT中 大当り確率 | 約1/41.1 |
| LT中 転落確率 | 約1/111.0 |
| LT継続率 | 約73% |
| LT中の出玉 | 1500個 ×N(神髄JUDGEで3000個/6000個) |
表の下2行を、もう一度見てほしい。大当り確率と転落確率が、両方書いてある。ここが全部だ。
構造の解剖:73%は「競争の結果」である
① ST機との決定的な違い
ST機の継続率は、回転数が保証されている。たとえばST70回転・継続率73%なら、「70回転の間に1/41を引けるか」という一本勝負であり、70回転は必ず回る。時間は味方だ。
転落式は違う。1回転ごとに、当たりと転落が同時に抽選されている。
- 大当り:約1/41.1
- 転落:約1/111.0
この2つが毎回転レースをしている。先に当たりを引けば継続、先に転落を引けば終了。保証された回転数は、1回転もない。
② 73%はどこから出てくるか
実は、この2つの数字から継続率は自分で計算できる。
「当たりが先に来る確率」= 当たり確率 ÷(当たり確率 + 転落確率)
(1/41.1) ÷ (1/41.1 + 1/111.0) = 約72.98%
公表値の「約73%」と、きれいに一致する。継続率73%とは、1/41.1と1/111.0のレースで、1/41.1が先着する確率のことだ。継続率という言葉から連想する「73%の耐久力」ではない。
③ 「1回転で転落」が起きる理由
ここが体感とのズレの正体だ。
ST機なら、初回転で終わることは絶対にない。回転数が保証されているからだ。だが転落式では、LT突入直後の1回転目に、いきなり1/111.0を引く可能性がある。
1回転目で転落する確率は、単純に約0.9%。100回のLTのうち1回は、何もせず終わる。掲示板の「1回転で転落して笑った」は、数字の上で普通に起こる事象だ。
そして5回転以内に転落する確率は約4.4%、20回転以内なら約16.5%。つまりLTに入っても、6回に1回は20回転すら回らずに終わる。
継続率73%という数字は「平均すれば」正しい。だが分散の下振れ側が、ST機よりずっと近い場所にある。「続かない」という体感は、錯覚ではない。
④ この台の重さはどこにあるか
連チャン数の分布を出すと、こうなる。
| 到達ライン | 確率 |
|---|---|
| 2連以上 | 約73% |
| 3連以上 | 約53% |
| 5連以上 | 約28% |
| 10連以上 | 約6% |
平均継続回数は約3.7回。半分の人は3連で終わる。
そして、この台の出玉は「神髄JUDGE」で3000個・6000個を引けるかに大きく依存する。1500個で終わる当たりと、6000個を持って行く当たりでは、価値が4倍違う。連チャンが短いと、そもそも神髄JUDGEを引く試行回数が確保できない。
重さは二重になっている。LTに入るまでが1/588。入ってからも、平均3.7回で転落する。その短い区間の中で、大きい出玉を引けるかどうかがもう一段の抽選になる。
LT3.0規制から見た立ち位置
LT3.0では、総獲得出玉の大部分をLT区間で取らせる。各台は「突入を渋くしてLT出玉を大きくする」か「突入を甘くしてLT出玉を抑える」かで辻褄を合わせる設計になる。
もののがたりは、明確に前者だ。突入率25.5%(通算1/588)は現行機の中でも渋い部類で、そのぶんLT中の出玉に振っている。1500個×Nという構造で、神髄JUDGEを引けば一撃6000個。掲示板に「一撃6万発」の報告があるのは、この設計の帰結だ。
つまりこの台は、分散を意図的に大きくした設計である。当たらないときは何も起きず、刺さるときは大きく刺さる。「即転落ばかりでクソ台」という評価と「一撃6万発出た」という報告が同じ台に共存しているのは、矛盾ではなく仕様だ。
継続率73%は、実際どのくらい続くのか
「平均3.7連」と言われても、それが実際にどんな振れ幅なのかは、数字を眺めるだけでは掴めない。
当ブログの連チャンシミュレーターで継続率を73%に合わせて回してみると、この分布が試行ベースで見えてくる。3連で終わる回、1連で終わる回、そして稀に10連を超える回。「73%なのに続かない」という体感が、実際には何を見ているのかが分かるはずだ。
連チャン確率
シミュレーター
継続率をいじって、RUSH/LTが何連するかを試せます。下を開けば「そもそもLTに辿り着く確率」まで見られます(覚悟はいいですか)。
N回以上 続く確率
RUSH/LTに入った後、N回以上当たる確率です。
| 継続回数 | 確率 | 体感 |
|---|
p ÷ (1 − p) 中央値 = log(0.5) ÷ log(p) N回以上 = p の N乗LT(RUSH)到達までの道のり
通常から「LT+N連」までの通算確率
ヘソから打ち始めて、LTに入り、さらにN連する確率です。
| 到達点 | 確率 | 通算 |
|---|
で、どう捉えるか
断定はしない。向き不向きの材料だけ置く。
一撃の出玉を狙いたい人 → 構造としては噛み合う。神髄JUDGEの6000個は、ライトミドルの枠を超えた出玉性能だ。ただしそこに辿り着くには、1/588の門を抜けて、さらに転落レースを勝ち続ける必要がある。
安定して玉を増やしたい人 → 向かない。平均3.7連、20回転以内の駆け抜けが約16%。ST機のような「入ったらしばらく出玉が積み上がる」感覚は得られない。
転落式の緊張感が苦手な人 → やめておいたほうがいい。この台は毎回転、転落抽選が走っている。演出も転落煽りが頻繁に挟まる。これを「ヒリつく」と感じるか「不快」と感じるかで、評価が180度変わる。
回転率が確保できない環境の人 → 見送り。1/588という到達率は、試行回数がなければ意味を持たない。回らない台で分散の大きい機種を打つのは、最も分の悪い組み合わせだ。
まとめ
- 継続率73%は「耐久力」ではなく、1/41.1と1/111.0のレースの勝率
- 実際に計算すると72.98%。公表値と一致する
- 保証回転数がゼロなので、1回転での転落が約0.9%、20回転以内の駆け抜けが約16%
- 平均継続は約3.7回。半分は3連で終わる
- そのぶんLT中の出玉に全振り(神髄JUDGEで6000個)。分散を意図的に大きくした設計
「73%なのに続かない」は、体感の錯覚ではない。転落式という構造が、ST機とは別の形で下振れを近くに置いているだけだ。この台の73%を、ST機の73%と同じ感覚で見にいくと、必ず裏切られる。


