6年ぶりに帰ってきた「魔法少女リリカルなのは」が、スマパチのLT機として登場した。版権の力は強い。スペックを抜きにして一回は打つ、という声も多い台だ。かくゆう私も打ってみたい台のひとつである。
ただ、トライコード解析でいつもやっているのは「演出の派手さ」ではなく「数字の構造」を見ることだ。この台、LTに辿り着くのは実は軽い。なのにユーザー評価は辛口に振れている。なぜか。その答えは「完走型ST」という、この台だけの独特な仕組みにある。数字を分解していく。
スペックの素
まずは公表値を並べる。ここは事実だけ、淡々と。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 大当り確率 | 約1/348.5 |
| 図柄揃い確率 | 約1/432 |
| 図柄揃い時のLT突入率 | 約63% |
| LT(フルドライブST)継続率 | 約75%(ST70回・完走型) |
| LT初当り合算確率 | 約1/646 |
| 一撃最大 | 7500個(1500個×ストック5) |
複数の解析媒体で数値はおおむね一致している。LT3.0世代のハイミドルだ。
構造の解剖:ここがこの台の本体
① LTに「入るまで」は、実は軽い
図柄揃いを引くと、約63%で直接フルドライブST(LT)へ突入する。漏れた約37%も、そこで終わりではなく時短100回(チャレンジタイム)に移行して、引き戻しのチャンスが残る。さらに、通常時のアクセラレータチャンス(チャージ的な2R大当り)経由でも約1/6でLTに届く。
これらを全部合算したLT初当り確率が、約1/646。メーカー自身が「手の届きやすさを追求」と謳っているとおり、最近のLT機としては入口がかなり軽い部類だ。賭ケグルイの実質12.5%のような「到達の地獄」はここにはない。
② 「完走型ST」理解する
問題はLTに入ったあと。この台のフルドライブSTは、よくある「当たるたびに継続抽選」とは仕組みが違う。
まず、ST70回転は必ず最後まで回し切る。途中で図柄沿いしても、STはそこで終わらず、残りの回転数を消化し続ける。そして70回転を回す間に図柄が揃うたびに、1500個の出玉を最大5回までストックしていく。70回転を完走したら、貯めたストックを一気に放出する。これが「フルドライブ(完走型)ST」の正体だ。
継続率約75%というのは、完走後にストックが残っていれば再びSTがスタートする、そのループの継続率を指す。70回転中に図柄揃いが0回ならストックゼロで終了(いわゆる駆け抜け)、1回以上揃えばその数だけ1500個を確保して次に繋がる。
この継続率75%が何連を意味するのか、頭で言われてもピンと来ないと思う。当ブログの連チャンシミュレーターで「なのは」を
選んで、継続率のスライダーを動かしてみてほしい。75%が平均何連で、半分の人がどこで終わるのか、肌で分かるはずだ。
連チャン確率
シミュレーター
継続率をいじって、RUSH/LTが何連するかを試せます。下を開けば「そもそもLTに辿り着く確率」まで見られます(覚悟はいいですか)。
N回以上 続く確率
RUSH/LTに入った後、N回以上当たる確率です。
| 継続回数 | 確率 | 体感 |
|---|
p ÷ (1 − p) 中央値 = log(0.5) ÷ log(p) N回以上 = p の N乗LT(RUSH)到達までの道のり
通常から「LT+N連」までの通算確率
ヘソから打ち始めて、LTに入り、さらにN連する確率です。
| 到達点 | 確率 | 通算 |
|---|
③ この台の「重さ」はどこにあるか
入口(LT到達1/646)は軽い。継続率75%も完走型で安心感がある。では、なぜ評価が辛いのか。
重さは「一撃の伸びにくさ」にある。完走型は、最後の1回転まで無駄がない代わりに、1回のSTで取れる出玉の上限が読めてしまう。爆発力で殴るタイプではない。7500個(ストック5)はあくまで最大値で、毎回そこに届くわけではない。「到達は楽だが、一撃の天井は見えている」——これがこの台の性格だ。
では、その7500個を引ける確率がどんなものなのか、公表値を元に単純計算するとこうだ。
- 0回 約25.6%(ST駆け抜け、図柄沿い引けず)
- 1回 約35.7%
- 2回 約24.6%
- 3回 約11.1%
- 4回 約3.7%
- 5回 約1.3%
つまり、70回転で5個ストックして7500個に到達する確率は、約1.3%。100回STに入って1回あるかないか。これが完走型STで7500を見る希少さです。
そしてこれが「完走型ゆえに一撃が伸びにくい」の正体です。平均1.36個しか積めない仕組みなので、出玉が平均1500〜3000個あたりに集中する。7500(5個)は1.3%の取れたらラッキー。更にゼロ(駆け抜け)は25.6%の良く引く確率。そのため出玉が暴れにくい設計になっているため評価が「安定だが地味」という声が目立つ結果となる。
なにより1番注意しないといけないことがある。それは、ST中にストックを取った後は「トイレに行くことはできない」ということだ。ストックが取れていなければトイレにいけるのだが、ストックをしてしまうと大当たりを消化するまで手を止められない仕様のようで、ストップボタンも使うとアラートが表示される仕組みになってるようだ。
LT3.0規制から見た立ち位置
LT3.0は、総獲得出玉の大部分をLT区間で取らせる規制だ。だから各台は「突入を渋くしてLT出玉を大きくする」か「突入を甘くしてLT出玉を抑える」かで、トータルの期待値がつじつまの合うように設計される。
なのはは明確に後者だ。LT到達1/646という甘い突入率を取った代わりに、完走型で一撃を制御し、出玉の暴れを抑えている。賭ケグルイが「突入12.5%・一撃7500」で尖らせたのと、ちょうど逆のルートで同じゴールに着いている。期待値そのものは、どちらも規制の枠内で大きくは変わらない。違うのは「体感」だ。
で、どう捉えるか
この台が向くかどうかは、あなたが何を求めるかで真逆になる。
派手な一撃より、安定して遊びたい人には向く。LT到達が軽いので「そもそも入らない」というストレスが少なく、完走型ゆえに駆け抜けの徒労感も比較的小さい。版権が好きで、長く触っていたい人にも合う。
逆に、一撃の爆発力に賭けたい人には物足りない。完走型は天井が見えているぶん、「一発で大逆転」の夢は薄い。突入率を犠牲にしてでも7500の山に賭けたいタイプは、賭ケグルイのような尖った台のほうが満足度は高いだろう。
「到達の軽さ」を取るか、「一撃の夢」を取るか。あなたはどっちのタイプだろうか。
まとめ
なのはは、LT到達1/646と入口が軽く、継続率75%の完走型STで安定感のある台だ。評価が辛口に振れるのは、性能が悪いからではなく、完走型ゆえに爆発力が抑えられているから。そこを「物足りない」と取るか「安心して遊べる」と取るかで、評価は分かれる。次回は実際に打った実践日記で、この構造が体感とどう一致したかを答え合わせしたい。


